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一九五〇年代の冠婚葬祭マニュアル

一九五〇年代のマニュアルには、冠婚葬祭に対する人々のゆらぎが見え隠れする。伝統と新しい文化のすりあわせに苦心しているようすが、ありありとうかがえるのだ。だが、結論からいうと、半分(表層)は一新されたけれども、半分(根本思想)は昔のまんま。それが五〇年代のマニュアルだった。どの本も日本国憲法下での「男女平等の結婚」を強調してはいるものの、「結婚とは何か」みたいな長い演説がやはり巻頭を飾っている。新式の人前結婚式が紹介される一方で、伝統的な自宅結婚式はじめ、神式、仏式、キリスト教式結婚式の次第も詳述されている。基本構造は変わらない。なにより変わっていないのは、性交渉、占い、優生思想という結婚の三大要素(だったことに勝手にしてしまうが)が温存されたことだろう。もっともそこは戦後のマニュアル。それなりの「お色直し」もほどこされている。性交渉情報は、多少科学的になって「性生活」「夫婦生活」の名で性器の構造やオルガズムのメカニズムが語られ、「家族計画」の名で避妊法が紹介される。

夫も出産にさいして一定の役割があった

天井からは力綱が下がり、ひも、またはしごきが使われていた。ふつう産婦の食器類の横にエナを入れる土瓶が置かれ、安産の神の塩釜様の御札が貼ってある。産婦は中腰になって力綱につかまり、イキミ、もがいて胎水が破れ出ずるのを待った。取上げ婆さんは、腹をもみあげて、あるいは腰を抱いてそれを助けるが、相当な経験と体力を必要としている。一人で不可能なときは、母親や産婦の親しい者が助力したという。亭主は絶対に入ってはいけないというタブーがとりわけない点も注意される。男が助力するとくせになるとはいったが、別に亭主の手伝いを否定しているわけではない。「何の某の出産はいつでも亭主が手伝う」という伝承も記録されており、以前は夫も出産にさいして一定の役割があったことを示唆している。

会議室、応接室……どこが上座?

お客様を会議室や応接室にご案内したら、「こちらにおかけになってお待ちください」と、座る席をおすすめすること。「少々お待ちください」だけで退室すると、マナーを心得た方は、名指し人が現れるまで立って待っていることがある。このとき、お客様にすすめるのが「上座」。上座の原則は、「出入り口から遠い」こと。話に集中しなければいけない重要人物を奥へお通しすると考えればいい。開け閉めのたびに落ち着かない出入り口近くは、お客様のために立ち働く人が座るべき場所。冬場だと暖かさも奪われやすい。応接室などの長椅子は、原則的にはお客様用。しかし出入り口近くに長椅子がある場合は、奥の席が上座となる。和室では床の間のあるほうが上座だが、ない場合は、入り口から遠いほうが、部屋の中心と思われるほうを上座とする。


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